特定技能「介護」とは？
即戦力の外国人が5年間働ける制度
特定技能「介護」は、特定技能1号という在留資格のひとつで、介護分野に特化した外国人労働者を受け入れる制度です。
対象者は、介護技能評価試験と日本語能力試験（N4レベル以上）に合格しており、介護職の基礎的な知識と実務対応力を持っています。
日本全国の介護施設で、最長5年間、フルタイムでの雇用が可能となります。
なぜ注目されているのか
厚生労働省の推計によると、2040年には69万人以上の介護人材が不足すると言われています。こうした背景の中で、外国人材の戦力化は不可避なテーマです。
その中でも、実務前提・長期雇用・キャリア移行が可能な特定技能「介護」は、他制度にはない柔軟性と即効性を持つ制度として注目を集めています。
技能実習やEPAとの違いとは？
制度の目的が根本的に異なる
技能実習制度は「技術移転」を目的とした制度であり、原則として母国への帰国を前提としています。期間は最長5年ですが、転職や職場変更が難しく、労働者としての自由度は制限されます。
一方、特定技能は日本の人手不足対策が目的であり、外国人が労働者として正式に働ける制度です。転職も可能で、労働条件や法的保護も整備されています。
EPAとの比較
EPA（経済連携協定）では、来日する外国人が「介護福祉士国家試験の合格」を前提に受け入れられます。つまり、実務前提ではなく、学習や試験が中心です。
特定技能は逆に、資格がなくても「技能評価試験」＋「日本語能力」で就労が可能なため、スピード感をもって雇用が可能です。
介護施設が導入すべき5つの理由
1. 即戦力を確保できる
採用時点で技能評価試験に合格しているため、介護の基礎を理解しており、入職後すぐに戦力として働けます。介護未経験の日本人を一から育成するよりも、教育負担やコストを軽減できます。
2. 雇用の計画が立てやすい
最長5年という就労期間が設定されており、シフト計画や職員配置の長期的な設計が可能になります。
3. キャリア形成が可能
外国人職員が介護福祉士の資格を取得すれば、在留資格「介護」に切り替えることができ、永続的な雇用も可能になります。本人にとってもキャリアアップができ、施設にとっても安定的な人材確保につながります。
4. 多様性が生まれ、現場が活性化
外国人ならではの視点や文化が現場に入り、多様性のあるチームづくりが可能になります。利用者との関係にも好影響を与えるケースが多く、施設全体の雰囲気が明るくなるといった声もあります。
5. 離職率が下がる傾向がある
特定技能人材は母国の家族を支える意思が強く、まじめで責任感のある人が多いと言われています。日本人職員と比較して離職率が低いという施設も増えており、職場の安定につながります。
受け入れに必要な条件とは？
施設側の基本要件
特定技能の外国人を雇用するには、以下の条件を満たす必要があります。
- 介護保険法に基づくサービスを提供していること
- 雇用する外国人が技能評価試験・日本語試験に合格していること
- 生活支援体制を自社で整備、または登録支援機関へ委託すること
- 社会保険・労働保険への適切な加入
登録支援機関との連携も有効
自社で生活支援体制を整備するのが難しい場合は、「登録支援機関」と呼ばれる専門機関に業務を委託することができます。
登録支援機関は、外国人の生活相談・行政手続き支援・日本語学習支援などを代行してくれるため、初めて外国人雇用を行う施設でも安心して導入できます。
どの国から来ているのか？出身国の傾向
受け入れ実績が多い国
2025年現在、特定技能「介護」で多くの外国人が来日している主な国は以下のとおりです。
- ベトナム
- フィリピン
- インドネシア
- ネパール
- ミャンマー
これらの国の共通点
いずれの国も、日本との経済的な連携が強く、国内での日本語教育体制が整備されています。また、若い労働人口が多く、介護という仕事に対しても「家族を大事にする文化」がマッチしていると言われています。
在留資格「介護」への移行と将来設計
介護福祉士を取得すれば永住雇用も可能
特定技能の外国人が5年間の就労中に介護福祉士国家資格を取得すれば、「在留資格：介護」に移行できます。この資格は在留期限がなく、家族帯同も可能となるため、本人にとっても日本での生活基盤を築くチャンスとなり、施設にとっても定着率が高まります。
まとめ｜今こそ「特定技能 介護」の活用を
人材不足に直面する介護業界にとって、特定技能「介護」は最も実効性の高い外国人雇用制度です。技能実習制度よりも柔軟性があり、EPAよりも導入ハードルが低く、現場の即戦力を確保するための最適解と言えるでしょう。
将来的な人材確保の柱として、今すぐ制度の理解と受け入れ体制の整備を進めることが求められています。登録支援機関と連携し、制度の活用を前提とした人材戦略を構築することで、持続可能な介護運営が実現します。
