全国的に深刻化する介護人材不足。なかでもデイサービスは、日勤のみで夜勤が不要という働きやすさから、外国人介護人材の受け入れ先として高い注目を集めています。政府が推進する「特定技能」制度を活用することで、即戦力となる外国人スタッフを合法的に雇用できるようになりました。
本記事では、制度の基本情報から導入の流れ、実務上の注意点、さらには現場での成功事例まで、理事長や施設長の視点で詳細に解説いたします。初めて外国人採用を検討している介護事業者の皆さまにも、安心して導入できるよう徹底的にサポートします。
特定技能制度とは?
特定技能制度は、2019年4月に創設された新たな在留資格制度で、日本国内の人手不足分野において、一定の技能・日本語能力を持った外国人を受け入れる枠組みです。介護分野はその対象の一つであり、「特定技能1号」により最大5年間の就労が可能です。
特定技能介護では「介護技能評価試験」と「日本語能力試験N4以上」の合格が必須であり、基本的なコミュニケーション能力と介護の知識を備えた人材が来日します。技能実習とは異なり、労働力としての即戦力性が高く、雇用後すぐに戦力化できるのが特長です。
デイサービスでも受け入れ可能
厚生労働省により、以下の介護施設・サービスで特定技能の受け入れが認められています:
- 特別養護老人ホーム
- 介護老人保健施設
- 介護医療院
- 有料老人ホーム
- サービス付き高齢者向け住宅
- 通所介護(デイサービス)
つまり、デイサービスも正式な受け入れ対象です。夜勤を避けたい外国人スタッフにとっても魅力的な職場であり、継続的な人材確保の観点からも非常に有効な制度です。
デイサービスにおける特定技能人材の導入メリット
1. 離職率の低減と継続雇用の実現
特定技能1号では最長5年間の就労が可能で、条件を満たせば在留資格「介護」への移行も認められています。長期的な雇用体制を構築しやすく、施設の人材基盤を強化できます。
2. 現場の業務負担を分散
入浴や排せつ介助、送迎補助などの身体的負荷が大きい業務を外国人スタッフが担うことで、日本人職員の疲弊を防ぎ、働きやすい職場環境を実現します。
3. 多様性とレクリエーションの活性化
外国人スタッフが持ち込む文化や価値観は、利用者との新しい関係構築に役立ちます。多文化共生を活かしたレクリエーションやコミュニケーションが、施設全体の活性化を後押しします。
導入ステップと重要な注意点
ステップ1:信頼できる登録支援機関の選定
外国人の生活支援と労務管理を担う登録支援機関の選定は最重要事項です。行政庁に登録された正規の支援機関から、介護実績があり、日本語・文化指導にも長けた企業を選びましょう。
ステップ2:対象業務の明文化
デイサービスにおける特定技能人材の業務は、「身体介護」およびその補助的業務が中心です。洗濯や清掃などの単純作業のみでは認可されないため、業務範囲を明文化して運用しましょう。
ステップ3:教育と研修体制の構築
導入後の定着を左右するのが教育体制です。日本語学習、介護マナー研修、介護技術のOJT指導などを計画的に実施することで、外国人スタッフの定着率とパフォーマンスが向上します。
成功事例:福岡県久留米市「ひまわりデイサービス」
2023年、福岡県久留米市の「ひまわりデイサービス」は、ベトナム人2名を特定技能制度で採用。入浴介助や送迎補助を任せることで、日本人職員の負担軽減に成功しました。
導入から1年後には、2名ともに日本語検定N3に合格。施設長は「今や施設の中心的存在。異文化を通じてスタッフ間の連携も深まった」と評価しています。
まとめ
特定技能制度は、慢性的な人材不足に悩むデイサービス業界にとって、画期的な人材確保手段です。制度の適切な活用により、持続可能で活力ある施設運営が実現します。
重要なのは、信頼できる登録支援機関と連携し、制度への理解と運用体制を整えること。外国人スタッフとの共生を通じて、介護の未来を切り拓いていきましょう。