日本の超高齢社会において、訪問介護は高齢者が住み慣れた自宅で安心して暮らすために不可欠なサービスです。しかし、深刻な人材不足が続く中、介護現場では外国人材の活用が重要視されています。本記事では、技能実習制度が訪問介護に適用されない理由を明確にし、代替となる在留資格について詳しく解説します。
技能実習制度とは?
技能実習制度は、発展途上国への技術移転を目的として1993年に創設された制度です。日本国内の産業現場での実地訓練を通じて技能を学ぶ仕組みであり、介護分野は2017年から対象職種に追加されました。制度は「技能実習1号」から「3号」まであり、最長5年まで滞在可能です。対象施設は、特別養護老人ホームやグループホームなどの施設内に限られています。
技能実習制度を訪問介護は不可!代わりに活用できる在留資格
2025年6月現在、訪問介護で技能実習生を受け入れることは制度上認められていません。技能実習制度は、受け入れ先企業の管理下における実習を前提としているため、利用者の自宅で単独で行う訪問介護には適していません。
訪問介護で外国人を雇用する在留資格
訪問介護で外国人を合法的に雇用するには、以下の在留資格が活用できます。
- 特定技能1号:2023年に訪問介護が対象職種に追加され、外国人による訪問介護が可能となりました。必要な条件は、「介護技能測定試験」と「日本語能力試験(N4以上)」への合格です。
- 育成就労:技能実習制度の後継制度として導入予定で、制度設計において訪問介護を含めるかが検討されています。2027年ごろの実施が予定されています。
なぜ訪問介護は技能実習制度の対象外なのか?
- 監督体制の確保が困難:訪問介護は単独で行われるため、企業が常時監督できる体制にありません。
- 日本語能力の要求水準が高い:利用者と直接やり取りする業務のため、高度な日本語力が求められます。
- 利用者保護の観点:安全性や緊急対応の問題から、制度的に慎重な姿勢がとられています。
特定技能や育成就労との違い
特定技能制度は、即戦力として訪問介護を含む多様な業務が可能な点が特徴です。一方、育成就労制度は教育的観点が重視されており、段階的な育成と自立支援を柱としています。どちらも、技能実習制度よりも柔軟な制度設計がなされています。
今後の展望:制度緩和と人材活用の可能性
厚生労働省は技能実習制度の見直しを進めており、育成就労制度の導入によって訪問介護を含める可能性があります。今後は、より多くの外国人が安心して働ける制度の整備と、介護現場のニーズに即した運用が求められています。
訪問介護事業者が今できること
- 特定技能人材の採用準備:法的に受け入れ可能な人材を即戦力として雇用できる体制を整える。
- 教育・支援体制の構築:外国人が長期的に働ける環境作りを進める。
- 最新の制度動向を把握:制度改正の情報をキャッチし、柔軟に対応する。
まとめ
訪問介護では技能実習制度の活用は不可ですが、特定技能制度の活用や、今後の育成就労制度に備えた体制づくりが重要です。常に最新情報をもとに柔軟に対応し、外国人材の力を活かした質の高い介護サービスの提供を目指しましょう。