【完全版】EPA介護とは?仕組み・メリット・課題・他制度との違いまで徹底解説【2025年最新】

深刻な人手不足に直面する日本の介護業界。介護施設の現場では、慢性的な人材不足により、サービスの質や職員の負担が問題視されています。その解決策のひとつが、外国人材の受け入れ制度です。本記事では、経済連携協定(EPA)に基づく外国人介護人材の受け入れ制度「EPA介護」について、制度の特徴や受け入れまでの流れ、対象国、他制度との違い、メリットとデメリットまで、介護施設経営者や採用担当者に向けて詳しく解説します。

外国人採用相談100件突破

外国人採用に不安を抱える
介護施設様向けの無料オンライン相談へ!!

無料オンライン相談へ
介護グローバル採用の窓口

超高齢化社会の日本の介護人材不足の課題解決に向け、介護事業者の外国人採用を『コスト』ではなく『資産』となるよう、採用定着支援の相談窓口対応に取り組んでおります。

運営者情報

EPA介護とは?

EPA介護とは、Economic Partnership Agreement(経済連携協定)に基づく制度で、日本政府と外国政府が締結した協定により、対象国の人材を日本の介護福祉士として育成・雇用する仕組みです。現在、日本はインドネシア(2008年開始)、フィリピン(2009年開始)、ベトナム(2014年開始)の3か国と協定を結んでおり、それぞれの国の政府が推薦する候補者が来日し、日本語を学びながら介護施設での実務を経験し、国家資格である「介護福祉士」の取得を目指します。

EPA介護の制度概要と流れ

EPA介護制度では、受け入れまでに以下のようなステップが設けられています。候補者は段階的に研修と実務経験を重ね、国家試験に挑戦します。

  • 1. 相手国政府による人材の選定・推薦
  • 2. 来日前の日本語研修(6か月程度)
  • 3. 日本に入国後、追加の日本語研修
  • 4. 介護施設での実務スタート(最長4年)
  • 5. 介護福祉士国家試験の受験
  • 6. 合格後、在留資格「介護」へ変更し長期雇用が可能

EPA介護の特徴

①政府間の信頼性ある枠組み

EPA介護制度は、政府間の協定に基づいて運営されているため、人材の質や選定プロセスにおいて信頼性が高く、トラブルの発生も少ないとされています。候補者は大学卒業以上で、母国で看護や介護関連の教育を受けた者が多く、一定の水準をクリアした人材が日本に派遣されます。

②介護福祉士国家資格の取得が前提

EPA制度では、候補者が国家資格である介護福祉士の取得を目指すことが前提条件です。そのため、学習意欲が高く、キャリアを日本で築こうとする姿勢が強く見られます。施設としても、単なる一時的な労働力ではなく、長期的な戦力として期待できます。

③限定された協定国

現状では、インドネシア、フィリピン、ベトナムの3か国のみに限定されています。これら以外の国から人材を受け入れたい場合には、特定技能制度や技能実習制度の活用が必要です。

④手厚い日本語・生活支援

来日前から6か月以上の日本語研修を受けており、来日後も継続的にフォローアップが実施されます。加えて、生活面でのサポートや就労先とのマッチング支援も整備されているため、離職率が低く、安定した定着が期待できます。

受け入れ条件と介護施設側の要件

EPA候補者を受け入れるためには、介護施設側にもいくつかの要件があります。以下は代表的な受け入れ基準です:

  • 厚生労働省が定めた受け入れ要件に準拠
  • 候補者の日本語学習および国家試験対策への支援体制の整備
  • 住宅や生活面に関する支援を提供できる体制の構築
  • 安定した雇用環境(社会保険加入など)の提供

EPA介護制度のメリット

①国家資格取得意欲の高さ

候補者は母国での選抜過程を経て来日しており、国家資格取得を前提としているため、学習意欲や責任感が強い傾向があります。介護福祉士の資格を得ることで、キャリアの安定性が高まり、施設にとっても長期雇用がしやすくなります。

②離職率の低さ

日本語研修や生活支援体制が整っており、事前に文化や働き方について学んでいるため、日本社会への適応が早く、離職率が低いとされています。長く勤めてくれる人材を求める施設にとっては大きなメリットです。

③政府主導による安定運用

国際協定に基づく制度であるため、行政からの支援や監督も行き届いており、急な制度変更やトラブルが起きにくいという安心感があります。制度への信頼性が高く、初めて外国人材を導入する施設にもおすすめです。

EPA介護制度の課題・デメリット

①国家試験のハードルの高さ

介護福祉士国家試験は日本人にとっても難関であり、外国人にとっては日本語能力や専門用語の壁が大きな障害になります。合格率は年によってばらつきがありますが、40~50%程度にとどまることもあります。

②受け入れ枠の制限

EPAの受け入れには、相手国との協定に基づいた人数制限が設けられており、希望する人数を確保できないこともあります。特に人気の高い国からの候補者は早期に枠が埋まる傾向にあります。

③多国籍な人材確保には不向き

対象国が限られているため、幅広い国から人材を採用したい施設にとっては不便な制度といえるでしょう。多様性を重視する施設には、特定技能制度など他の選択肢との併用が望まれます。

他の外国人介護制度との比較

制度 対象国 必要な資格 在留資格 家族帯同 特徴
EPA インドネシア、フィリピン、ベトナム 介護福祉士試験に合格 介護(合格後) 政府主導、支援体制が充実
特定技能 全世界 介護技能評価試験、日本語試験 特定技能1号 不可 即戦力、5年間までの雇用
技能実習 主にアジア諸国 協定に基づく研修 技能実習 不可 技術移転が目的、帰国前提
在留資格「介護」 全世界(資格取得者) 介護福祉士 介護 資格取得済みで即就労可能

まとめ

EPA介護制度は、政府主導で質の高い外国人介護人材を受け入れられる信頼性の高い仕組みです。日本語教育や生活支援も充実しており、定着率の高さと国家資格取得によるキャリア形成が大きな魅力です。ただし、国家試験の難易度や受け入れ枠、対象国の制限などの課題もあるため、自施設の人材戦略や将来の採用計画に応じて、他の在留資格制度との併用も視野に入れるとよいでしょう。

外国人採用相談100件突破

外国人採用に不安を抱える
介護施設様向けの無料オンライン相談へ!!

無料オンライン相談へ